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『丈夫で⻑持ち』を合⾔葉に 

株式会社 ぶんぶく

今回、ごみ箱や傘⽴てなどステンレス‧スチール製の業務⽤製品を製造しているメーカー、株式会社ぶんぶくの⼆本松⼯場に滝沢が潜⼊!⽵内⼀江副社⻑、⽵内康介専務、⽥川⼆本松⼯場⻑にお話を伺いました。(聞き⼿:穐原 志穂)

​ワンストップでものづくり

まずはじめに株式会社ぶんぶく(以下、ぶんぶく)の特⻑を教えていただけますでしょうか?

竹内副社長 ぶんぶくは、業務⽤並びに家庭⽤環境備品の製造及び販売、テーマパーク向け商品の製造及び販売、ノベルティグッズの製造及び卸売り業を営んでいるメーカーです。
ぶんぶくには、2つの特⻑があると考えています。

2点⽬は、約70年間のロングセラーである独⾃の⾦型を使ったごみ箱です。このごみ箱は、2015年度にグッドデザイン‧ロングライフデザイン賞を受賞しました。ごみ箱の縁は、⼀枚板を巻き付けて鉄板の継ぎ⽬を覆っているので、⾐服が触れても傷つきません。特に⼥性には共感いただけると思うのですが、ストッキングが引っかかって伝線しないと好評です。
また、特徴的な胴体のデザインによって強度が増強されており、さらに出荷時に重ねても深くはまらず、外しやすいといった利点があるごみ箱となっています。

1点⽬は、⾃社の商品開発部がある点です。⾃社の商品開発部があることで、お客様のご要望にあわせて1から図⾯を起こすことができます。そこから図⾯に沿って、薄板の鉄やステンレスを切る、曲げる、溶接する、磨く、塗装する、梱包して出荷まで、⼀連の流れを全て⾃社でおこなっていることが特⻑です。
 

滝沢 1から図⾯を作るということは、「滝沢がこういうデザインでごみ箱を作ってほしい!」とお伝えしたら、考えていただけるんでしょうか?

竹内副社長 そうですね、⼨法や⽤途などご希望を伺いながら、ぶんぶくで図⾯を起こして提案させていただいています。

滝沢 特定のキャラクター型のごみ箱を作ってほしいという⼈がいても、検討していただけるのでしょうか?

竹内副社長 基本的に箱型もしくは円柱型であれば対応をさせていただくことは可能です。

⼯場⾒学をさせていただく中で、品質チェックもしっかりとされている印象を受けました。

⽥川⼯場⻑ はい、そうですね。ぶんぶくでは、昔から『丈夫で⻑持ち』を合⾔葉に、『品質ならぶんぶく』とお客様から⾔っていただけるよう、品質検査‧品質管理には⼒を⼊れています。丈夫で⻑持ちしすぎて、新しいものを買ってもらえなかったらどうしようという⼼配もありますが(笑)、⻑持ちをさせるということを⼤前提に⽣産しています。

滝沢 実際、どれくらい⻑持ちするんですか。

⽥川⼯場⻑ 買っていただいたお客様が多少錆びてても気にならない⽅であれば、50年、100年とずっと使い続けてもらうことができます。

滝沢 品質検査・品質管理は様々なチェック項⽬があると思うのですが、どのような項⽬でチェックをされているものなのでしょうか?

⽥川⼯場⻑ まずは⼨法です。そして当然、⾼さ、重さもありますし、あとは外観チェック、⾒た⽬のチェックもします。そしてそれに付属する部品のチェックなどもあります。それを無事に通過した製品のみが出荷されています。

他にもぶんぶくならではの強みがあると伺いました。

竹内副社長 先ほども申し上げた通り、お客様のご要望に寄り添ったものづくりが、ぶんぶくの強みです。そして、1点のオーダーメイドでも製造が可能な点は、お客様からもご好評をいただいております。
そしてもう1つは、品質です。ありがたいことに、数多くのお客様から品質について評価をしていた
だいております。

滝沢 オーダーメイドで製造できるという点について、⼀般消費者としてはニーズがあるのかどうかイメージが沸きませんでした。具体的にどのようなところにニーズがあるのでしょうか?

⽵内専務 できる範囲でお伝えさせていただきますね。例えば、オフィスの中で、限られたこのスペースにどうしてもごみ箱を3つ並べたい。既製品では、ぴったりの⼨法がない。そんな時にニーズが発⽣します。

⽥川⼯場⻑ あとは、いろんな店舗からもニーズはありますね。飲⾷店の店舗だったかと思うのですが、飲み残しを回収するものが欲しいということで、最初特注品で作りました。
今まで飲み残しを回収するごみ箱というのは、ラインナップにありませんでした。ですがそれをきっかけに、実際に弊社の商品に落とし込んだケースもあります。実際に⼯場で⾒ていただいた廃油回収もそのノウハウが活かされています。

滝沢 1点ものの需要ってどこまであるのかなって思ったのですが、意外と⾝近なところにあるんですね、オフィスとか、店舗とか。

⽵内専務 他にも、施設のバックヤードに置かれる、⽣ごみの借り置き場、回収されるまで置いておく箱がほしいというご要望もいただいたことはありますね。
なかなか世の中にはないので、特注で作ってほしいというご相談もありました。
また、塗装もオーダーメイドでできますので、お客様のご要望にあわせた⾊で仕上げることができ
ますよ。あとは、〇〇図書館や〇〇市役所など施設の名前を⼊れることも可能です。⽊⽬のデザイ
ンも対応できたりします。

滝沢 ⾵⽔向けに、⻩⾊や⾦⾊のごみ箱を作ってほしい!という要望があったりもしますか(笑)

竹内副社長 昔、⾵⽔バケットという家庭⽤のコンパクトなサイズで、⾚、⻘、⻩⾊…とカラフルなごみ箱がありましたよ(笑)現在、名前が変わっていますが、カラフルなごみ箱もラインナップとして揃えています。

ぶんぶくさんには、ごみ削減アイディアコンテストにも審査員としてご協⼒いただきました。
ごみ箱のアイディアが数多くでてきましたが、いかがでしたでしょうか?

竹内副社長 ぶんぶくの従業員だけでは出てこなかったような斬新なアイディアがたくさんあって、とても驚きでした。

滝沢 実際にぶんぶく賞を受賞された⽅はごみ箱に関するアイディアでしたが、その後、アイディアの実現に向けてサポートされるとお聞きしました。※ぶんぶく賞作品はこちら

⽵内専務 先⽇ちょうど打ち合わせをさせていただきました。具体的に進めていきたいというお互いの意思が確認できたので、まずは試作に向けて動いていこうという段階です。

滝沢 ⼿で潰すってのがやっぱいいですよね。AIを導⼊したり、電動で潰すというアイディアも多くいただき素晴らしいとは思ったのですが、同時に、導⼊するハードルも⾼くなると感じました。ちょっとアナログだけれども、⼿で潰すので導⼊するハードルは下げられる。

⽵内専務 おっしゃるとおりです。そして、確かにごみを減らすために効果があるだろうなと思ったアイディアなのでぜひとも実現させたいと思っています。
※アイディアコンテスト受賞作品の続報はまたお伝えさせていただく予定です。お楽しみに!

これからのごみ箱について

滝沢 アイディアコンテストの受賞作品含め、ごみプロジェクトと⼀緒に何か新しいごみ箱を作りたいですね!今後、新製品の開発に向けて考えられていることはありますでしょうか?

⽵内専務 そうですね、私はごみ削減アイディアコンテストでぶんぶく賞に選ばせていただいた泉野さんのアイディアにとても刺激を受けました。ごみを捨てる側の意識も変えられるような製品を作れるといいなと思っています。ごみ箱を通じて、ごみを捨てる側の意識を変えられるんじゃないかと、私の中で、夢が広がるアイディアでした。

⽥川⼯場⻑ 私は製造現場にいるので、それが新製品に繋がればいいなという感覚なのですが、端材を活⽤した製品が作れないかなと考えています。製造する過程では、どうしても端材が出てしまいます。製造過程で⼯夫はしているものの、何にも使えないという部分が出てきてしまうんですね。なのでそういった端材などを、溶接してくっつけて新たな形に持っていけないだろうかといった視点で新製品の開発を考えています。端材がうまく製品の⼀部になったりとか、端材だけを使った製品になったりとか、そういった製品開発を⽬指していきたいなとは思ってますね。

滝沢 現状、製造過程で出てしまった端材はどのようにされているのでしょうか?

⽥川⼯場⻑ プレスで抜いたあとの抜きかすは、それ以上使うことができないので、スクラップ業者さんに頼んで処理していただいています。ただ、ごみになるわけではなく、リサイクルされ、鉄に⽣まれ変わっています。

今後の展望や⽬指すところをお聞かせください

⽵内専務 例えば、図書館で本を借りた時に駅で本を返せるといったように、駅に分別ステーションみたいなものがあればいいなと感じています。ごみの回収が⽣活の⼀部になったらいいなと思っています。

滝沢 駅はやっぱり便利ですよね。都⼼部に住んでいる⼈は絶対に⾏く場所ですもんね。ですが、ぶんぶく⼯場がある⼆本松周辺ではそういうわけでもなさそうです。役場とか図書館、学校やスーパーが効果的に使えたらよさそうですね。

⽵内専務 私が想っているのは、ごみ箱を作っている会社ではありますが、「ごみがない世の中の⽅がいい。
ごみ箱が必要とされない世の中が1番ベストだ」という社⻑の⾔葉が⼼に残っていて、理想はそこに
あるなと思っています。

⽥川⼯場⻑ 私は、教育においてごみ箱が重要な存在だと思っています。ごみ箱を作っていながらではありますが、⾃宅でごみ箱を使わずに、ビニール袋だけをごみ捨てとして使ってる時期がありました。ごみをそのまま捨てられるという利点はあったのですが、うちの⼦どもたちが⼩さかった時、どっちが燃えるごみなのか、どっちが燃えないごみなのかというのがわかんなかったんですよね。⼤⼈は中⾝を⾒ればわかりますが、⼦どもたちはよくわからなかった。なので、中⾝がぐちゃぐちゃになっていたことが結構あったんです。そういう経験から、幼少期から教育の⼀環として、分別を意識させるという必要性はかなりあるなという⾵に思っています。そのためにも、ごみ、そしてごみ箱に興味・関⼼を持ってもらえると、私は嬉しいなとは思ってます。

滝沢 ごみ箱であるべき、その存在感って確かに必要だなと思いました。「置きたい」「置く意味をもたせる」っていうのも重要なポイントかもしれませんね。

⽥川⼯場⻑ また、教育の⾯でいうと、キャンバス テーパーバケットっていう取り組みを昨年実施しました。真っ⽩な印刷材をテーパーの形で加⼯して、それに⾃由に描いてもらうことができる製品です。図⼯の授業などに使えないかなっていうことで企画をしました。毎年、⼯場の近くにある⼩学校から、ぶんぶくの⼯場⾒学にきていただいているんですね。きていただいたお⼦さんたちに、キャンバステーパーバケットをお渡しして、絵を描いてもらって、楽しんでもらえたらなという想いで企画をしました。そういったことから興味を持っていただけるとすごく嬉しいですね。

竹内副社長 私が考えている展望ですが、「ごみ箱にごみを捨てる」ということではなく、⾃分は「資源を提供している」、そして「環境美化に参加している」ということが楽しくなるような製品作りを⽬指していきたいです。昔に⽐べて、商業施設やオフィスのごみ箱がクリーンでお洒落なものが増えてきていますよね。これも分別の⽂化が根付いてきているからなのかなと感じています。そして、ごみ箱ではなく、資源を回収する「街のインテリア」と⾔われるような製品を⽬指したいと思っています。

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滝沢 今回、みなさんのお話を聞いて、「街のインテリア」としてはもちろん、「家のインテリア」としても、『必要とされる存在である』ということが、⼤事なポイントなのかなと思いました。例えば、僕は最近、フクロウの置物を買ったんです。フクロウは縁起がいいから、置きたいと思って⼿に⼊れたのですが、ぶんぶくさんは、ニーズに合わせたものを作ることができるということなので、そういったものが作れそうだなと思いました。
現代は、便利ということを重視していて、そこに引っ張られがちですが、置きたくなるようなごみ箱があると、ごみ箱を⼤切に扱うようになると思いますし、ごみへの興味、そしてごみの分別・削減にもつながってくるのではないかなと感じました。

滝沢秀一の工場見学
​株式会社ぶんぶく二本松工場見学編

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