
JBRC × 日本リサイクルセンター
ごみ処理場やごみ清掃車、そして街中でも発火したというニュースが世間を騒がせている小型充電式電池。そんな小型充電式電池の回収・再資源化処理をおこなう日本リサイクルセンター株式会社の中島事業場に滝沢が潜入!
日本リサイクルセンター株式会社の増田 耕一 代表取締役、そして小型充電式電池の回収をおこなっている一般社団法人JBRCの湯浅 浩次 代表理事、金澤 祐一 専務理事に小型充電式電池に関する現状についてお話を伺いました。
(聞き手:穐原 志穂)

インタビュー
はじめに、日本リサイクルセンター株式会社(以下、日本リサイクルセンター)の事業内容を教えていただけますでしょうか?
増田社長
日本リサイクルセンターは、充電式電池の専業リサイクルをおこなっている会社です。
創業は、今から50年前。当時、ニカド電池(Ni-Cd)が世に普及し始めた頃です。
ニカド電池が使用済みになったっとき、ニカド電池にはカドミウムという金属が含まれていることもあり、有害な廃棄物 ― 今でいう処理困難物という立ち位置になってしまうものを、なんとかしなきゃいけないという思いがありました。そこで、複数のメーカーさんと一緒に研究開発をしたところ、カドミウムをうまく分離できる技術開発に成功しました。そこで専業の事業会社、日本リサイクルセンターを立ち上げたのがはじまりです。

以降、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池など、新しい電池が世に生み出されるたびに、我々のリサイクル技術をブラッシュアップし、それぞれのバッテリーに適した技術をもってリサイクルをおこなっております。
基本的にはそれぞれのバッテリーの中に使われている『レアメタル』と呼ばれるものを、有効活用できる形で処理をおこない、原材料に戻すということをミッションにしている会社です。
ありがとうございます。この事業を専業でしている会社はどのくらいあるのでしょうか?
増田社長
専業でされている会社はかなり少ないです。そして、専業でされている会社の中でも、ニカド電池・ニッケル水素電池・リチウムイオン電池の3種類を全てリサイクルしているのは当社だけなんですよ。特に、ニッケルやカドミウムを有効に活かすかたちでニカド電池のリサイクルをおこなっているのは当社が最後の1社になってしまいました。

日本リサイクルセンター株式会社 代表取締役 増田 耕一 氏
以降、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池など、新しい電池が世に生み出されるたびに、我々のリサイクル技術をブラッシュアップし、それぞれのバッテリーに適した技術をもってリサイクルをおこなっております。
基本的にはそれぞれのバッテリーの中に使われている『レアメタル』と呼ばれるものを、有効活用できる形で処理をおこない、原材料に戻すということをミッションにしている会社です。
ありがとうございます。この事業を専業でしている会社はどのくらいあるのでしょうか?
増田社長
専業でされている会社はかなり少ないです。そして、専業でされている会社の中でも、ニカド電池・ニッケル水素電池・リチウムイオン電池の3種類を全てリサイクルしているのは当社だけなんですよ。特に、ニッケルやカドミウムを有効に活かすかたちでニカド電池のリサイクルをおこなっているのは当社が最後の1社になってしまいました。

滝沢
最後の1社!驚きです。ということは、全国のニカド電池を処理されているんですか?
増田社長
そうですね。少なくともニカド電池に関しては、我々が受け取れるものは基本受け取らせていただき、リサイクルをしています。
続いて、一般社団法人JBRC(以下、JBRC)の事業内容を教えていただけますでしょうか?
湯浅代表
JBRCは、小型充電式電池を作っているメーカー、小型充電式電池を使った機器を作っているメーカー、そしてそれらの輸入業者など、およそ400社(2025年12月現在)で構成されている団体です。

一般社団法人JBRC 代表理事 湯浅 浩次氏
具体的には、使用済みの電池を回収し、再資源化を推進しています。実は、法律で、使用済み電池はメーカーや輸入業者に回収と再資源化が義務づけられています。(※資源有効利用促進法)ですが、1社だけで回収と再資源化をするとなると非常に大変です。そこで、団体として集まり、みんなで一緒に回収と再資源化をやっていこうということで、会員企業のニカド電池・ニッケル水素電池・リチウム電池、この3種類の使用済みを回収し、リサイクルをおこなっています。
滝沢
回収する小型充電式電池の量は増えているんでしょうか?
金澤専務
自治体から回収するためには、産業廃棄物以外に一般廃棄物の認可が必要なのですが、認可をもらった2017年からずっと右肩上がりで回収量が増加しています。昨年(24年度)は少し停滞したのですが、今年度はまた10%ほど回収量が伸びそうだと体感しています。
今年(2025年)4月15日に環境省が全国の自治体に、自治体でも小型充電式電池を回収してくださいねという通知を出しました。その結果、回収量が増えると見込んでいます。
滝沢
今後、新たな電池の種類が増えたら、急激に回収量数が増えたりしないんでしょうか?
増田社長
新たな電池が開発されたからといって、急激に回収量が増えることはないと考えています。なぜなら、世に出されたとしても、それらが使用済みになって返ってくるまでは、10年ほどのタイムラグが発生します。回収率にもよりますが、どの程度の量が回収されるかというのは、事前にある程度イメージがつくようになっています。今までの経験でも、急にものすごい量が回収されて工場に運ばれてきたということはあまりないんです。
とはいえ、今後新しい電池が開発されリサイクルをしていく場合、新しい場所に、新しい処理設備を建設するということをスピーディーにできるかというと、法律の問題が絡んできたりすることもあり、許可申請に時間がかかってきます。
新しい電池が生まれることにともない、リサイクル技術の研究開発も課題になりそうです。
増田社長
そうですね、研究開発に関しては当然していかなきゃいけませんよね。次は半固体電池や全固体電池などが、バッテリーの主流になると言われています。新しい電池が開発されるタイミングで、電池メーカーから「開発中のこの電池、使用済みになったら処理はお願いできますか?」といった相談が持ち込まれてくることがあります。そのタイミングなどで、技術トレンドを事前に察知しています。また、新しい製品がもし出てきた時にどういう形でリサイクルできるのか、効率のいい処理技術はどういうものなのかということは、常に調査し、研究していく必要があります。

一般社団法人JBRC 専務理事 金澤 祐一氏

金澤専務
新しい電池だけでなく、どんな風にどんなモノが増えるかというのも、リサイクルシステムにとっては非常に重要なポイントになってきます。来年(2026年)4月1日から改正資源法が施行されるんですが、モバイルバッテリー、スマホ、加熱式たばこデバイスの3品目が指定再資源化製品に組み込まれます。メーカーや輸入業社に自主回収・再資源化が求められるようになるということです。
そこで、リサイクル会社としては、「これどう処理していこうか?」という課題が出てくるんです。というのも、今まで処理をしたことがないので、資源価値がどれだけあるかわからないためです。
滝沢
そういえば、今日工場見学をするなかで、加熱式タバコたばこデバイスを見ませんでした。
増田社長
滝沢さん、するどいですね。実は、私たちは電池のリサイクラーとしての許可を大阪市からいただいている処理業の許可とは別に、広域認定制度のなかで主管庁または自治体からもいただいています。そして、その許可はどちらも、“この充電式電池に限る”という限定がついた形で頂戴しているんです。
じゃあ”電池”とは何のことかという話がここで出てきます。機器から使用者の方が簡易的に外せるものは、もちろん電池です。モバイルバッテリーに限っては、”電池”として回収・処理をしても大丈夫。ですが、容量が大きいポータブル電源などは、”電池”ではなく”機器”になってくるんです。
滝沢
なるほど、電池をリサイクルする許可はもらっているけれども、機器のリサイクルをする許可はもらっていないと。

増田社長
そうなんです。加熱式たばこデバイスから、バッテリーだけちゃんと外されていたらバッテリーのみのリサイクルはできるんですけどね。そうでなければ、デバイス全体としては機器にあたるのでそのままリサイクル処理ができないといった許可になっています。本当は機器も含めて処理したいのですが、法律的にできないといった状況が起こってしまっているんです。
滝沢
ということは、今”機器”の回収はどうなってるんですか…?
増田社長
リチウムイオン電池が出てくるまでは、電池だけ取り外せるのが当たり前だったので現行の法律でも問題なかったんです。ですが、リチウムイオン電池の登場によって、機器から電池だけを取り外せないものが多く流通してしまうようになったんですよね。そこで法律の改正が入るという流れです。
金澤専務
実は、有価物として売ることで、許認可がいらないという抜け道があるんです。もしかしたらその方法で”機器”は処理されているのかもしれません。
日本だけは、ごみかごみじゃないかの判断基準のひとつとして、そのモノを“お金を出して買うもの”か、“お金を払って処理してもらうか”の基準があるんです。あまり知られていないかもしれませんが、世の中では法律に抵触して処罰される業者が少なからずいますね。

なるほど、そういった事情があるんですね。ですが、安全に消費者が機器から電池を取り出すのは難しいように感じます。
金澤専務
電池をちゃんと取り出して、しっかり処理をすれば資源として生まれ変わることができます。ところが、簡単に電池を取り出せる商品が少なくなっています。
湯浅代表
電動シェーバーなんかは、電池がちゃんと取り外せるように設計されていたりしますよ。ですが、消費者のみなさんは、電池が取り外せるとはわからず、そのまま小型家電として捨てられてしまうケースが多いんです。あとは、昔のガラケーの電池は、後ろをパカっとあければすぐに取り外せますよね。メーカーもそういった設計にしていく必要がありますよね。電池だけが取りはずせたら、電池としてのリサイクルが可能になるので再資源化がしやすくなるんです。
金澤専務
簡単に言うとスリーアローマーク、そしてメーカー名等が書いてあればJBRCの回収対象としている電池です。
JBRCの回収対象外だからといって、自宅に放置している・溜め込んでいるケースも多いと聞きます。
湯浅代表
JBRCの回収網は、会員費を支払ってJBRCの仕組みの中に入ってくださっている企業様向けの回収網です。海外製品が、ECサイトなどを通じて日本で販売している場合、JBRCに加盟していないことがほとんどです。今1番の課題ではありますよね。

滝沢
入り口のところをなんとかしないといけませんね。
増田社長
そうなんです。JBRC会員外企業の電池をどうするのかといった問題は課題です。それからもう1つ、膨張電池、ダメージを受けたような電池は、仮にJBRCの会員企業さんであっても、安全性の面で回収をおこなえていないので、ここは課題ですよね。
ありがとうございます。色々と課題はありそうですが、ずばり、lこれだ!というリチウムイオン電池のリサイクルの現状や課題があれば教えてください。
金澤専務
講演などでもよくお伝えしているのですが、「捨てる時には、使い切ってから捨てましょう」。これをすることで、だいぶリスクは軽減できます。環境省のリチウムイオン電池対策集の中にも明記してあります。
滝沢
じゃあ、例えばしばらく旅行や入院などで、家を長期で留守にするときには、充電が0の状態で家に置いていてもいいんでしょうか?
湯浅代表
そうですね、エネルギーが0であれば、衝撃が発生したときにも発火はしないので、安全ではあります。

増田社長
ただ、使ってる途中で充電を0にしてしまうと、バッテリーの寿命が短くなってしまうんです。そういう点はありますが、捨てるときには充電を0にした方が危険性を減らすことができます。
金澤専務
余談ではありますが、充電は10%から90%ぐらいで使うのが充電の持ち的には1番良いんです。
消費者からは、バッテリーの寿命や劣化具合がわかりづらいという声もあります。
湯浅代表
はい、わかりづらいですよね。充電の残りを表すゲージも実はそんなに高精度ではないんですよ(笑)というのも電圧、電流と抵抗から判断をしていることが理由にあります。寿命に関するシミュレーションは各社おこなっているのですが、中味の良く分かっている自社の製品であれば推測はできるんです。ただ、他社メーカーの製品の評価は実際のところ正確に評価することが難しいのが現状です。
そうなると法律の整備や、システムの整備が喫緊の課題ですね。
増田社長
まさに今みなさんが困っていると思うのですが、ダメージを受けた電池や膨らんだ電池など、JBRCが集められない電池に関しては、結局、国や地方自治体が主導するかたちで、全国統一のルールを設けられるといいですよね。そうしないと、回収がうまく機能しないんです。日本人はみんな真面目です。ちゃんとルールさえ決まって、周知さえすれば、この問題も解決できるのではないかと考えています。

滝沢
僕もそう思います。ごみ収集の仕事をしている時に、タオルなどでぐるぐる巻きにされたモバイルバッテリーが燃えるごみや燃えないごみの中に入っていることがあるんです。結局、捨て方がわからないから、そういったことをしてしまうんですよね。
金澤専務
先日、電池の戸別回収をしている大阪の自治体で、2つのお宅に某メディアさんと一緒に取材に行かせていただいたことがあります。そこで電池を出してくれた方が、「リチウムイオン電池がきっかけとなって燃えしまっているシーンをテレビでたくさん見ると怖くなってしまって…下手にごみとして出せないし、不安な気持ちを抱えながら家に置いてました」と仰っていました。自治体職員が回収に行ったら、この機会を利用して3つも4つも家にあるのものが出てきたわけなんですね。
増田社長
みなさん、iPhoneだったり、ガラケーだったり、いつか何かで使うかも…写真とか入ってるし…ということで、ずっと自宅に置きっぱなしになっていることが多いんです。気が付いたら、5年、10年経っていたと。そして久しぶりに見てみると、バッテリーがパンパンに膨れ上がっているなんていったケースが多くみられます。
携帯だけではなくて、他にもリチウムイオン電池が使われている製品がたくさんあります。おそらく世の中にそんな人山ほどいると思うんです。だからそういったものも回収できるようなシステムや制度が一刻も早く整備されると嬉しいです。

ありがとうございます。最後にはなりますが、ここまでの話を受けて、今後どのような取り組みをしていきたいかについて教えていただけけますでしょうか?
湯浅代表
リチウムイオン電池の安全性のことはもちろんですが、そもそも、苦労して海外から輸入した資源で、それを加工して、電池作って、みなさんが使っているんです。ですが、リサイクルしたものが、また海外に出て行ってしまう。それはなんだか寂しい気がしますよね。日本は、資源を持っていない国なので、今ある資源を大切にしたいですよね。輸入したものは、自国で何回も何回も繰り返し使える、そんな社会を作っていかないといけないなと思っています。
金澤専務
資源は残らず、火事だけが日本に残るのは問題ですよね
滝沢
そして、メーカーだけではなく、日本リサイクルセンターのような静脈産業も栄えていくような社会が作られていくべきですよね。
増田社長
リサイクルというものは、なくなることがなく、今後もずっと続いていきます。いまある電池の種類から、新しい電池に置き換わったとしても、新しい電池になるだけで“リサイクル”自体は続いていく概念だと思います。電池の話だけではなく、法律の話やシステムの話も含めて、どんどん世の中は変化していきます。我々がおこなっているリサイクルも当然、技術的に世の中の変化に合わせてしっかりとできるようにならなきゃいけないんです。
仕組みだったり、技術を磨いたりというところはしっかりやっていきますので、法律の面をはじめとしたところで、国や地方自治体がフォローや促進、せめて邪魔をしないように変えていただけると嬉しいです。
金澤専務
みなさんと基本的には一緒の思いです。JBRC20周年の記念誌を作った時に、「資源循環による自律した未来へ」という言葉を紡ぎました。諸外国から製品安全の問題で、日本がいじめられるー「何かあったらこれの輸出を止める」「日本としては、それは困ります」みたいな、そんなこと関係なく生きていけるように日本が自律していかないといけないですよね。
1つ、我々ができるのはその電池だけなのですが、やっぱりちゃんと資源の大切さをこれからも訴えていかなきゃいけないですね。
滝沢
今回、みなさんのお話をお伺いして、改めて、日本に今ある資源は、資源としてちゃんと確保しておきたいっていうのはやっぱり僕も言いたいですね。世界というマクロで見ると循環しているのかもしれませんが、日本だけに焦点をおくと循環していないですよね。国内で循環させるという意識を高めていきたいです。

